焼肉などに行くと、メニューには様々な肉の種類、部位が並んでいます。
ロースやカルビといった部位ももちろんおいしいのですが、内臓系のお肉、いわゆる『ホルモン』もそれぞれ違った食感や味わいがあり、とても人気があります。
その中でも今回は、比較的メジャーな部位として牛の胃袋についてご紹介します。
牛の胃袋は4つある、ということ自体をご存じの方は多くいらっしゃるかと思いますが、それぞれの名称や特徴まで詳細に認識されている方は少ないのではないでしょうか。
それぞれの部位の特徴を知れば、ますます一つ一つの味わいを楽しむことができます。
◆第一の胃:『ルーメン』または『ミノ』
牛の第一の胃は『ルーメン』、または焼肉などに行くと『ミノ』という名称で呼ばれています。この『ミノ』という名称は、開いた形が昔の雨具である蓑傘(ミノガサ)に似ていることからきています。
脂は少なく弾力のある部分であるため、しっかりとした噛み応えがあります。
さらにその中でも肉厚な部分は『上ミノ』『ミノサンド』と呼ばれており、『ミノ』の中でもまた一味違う食感を味わうことができます。』
◆第二の胃:『ハチノス』
牛の第二の胃は『ハチノス』と呼ばれており、これはヒダなどの形の見た目が蜂の巣に似ていることからきています。
内臓系にはつきものですが独特の臭みがあるため下処理は大変ですが、丁寧に処理をした『ハチノス』はあっさりとしており食べやすく、胃の中では最もおいしいと言われています。
◆第三の胃:『センマイ』
牛の第三の胃は『センマイ』と呼ばれており、この由来は薄い布切れのようなヒダが何重にも重なった様子を朝鮮語で『千葉(チョニョブ)』と表現することから、同様の意味の『千枚(センマイ)』となったとされています。
見た目は他の胃と比較しても特に独特ではありますが、食感はコリコリしており味はとても淡泊で、ミノやハチノスほどの臭みもなく非常に食べやすい部位です。
◆第四の胃:『ギアラ』
牛の第四の胃は『ギアラ』と呼ばれ、この名称の由来には2つの説があります。まず1つ目は、戦後に米軍基地で働いていた人が報酬(=ギャランティ)代わりにもらっていたことから、『ギャランティ』が転じて『ギアラ』となった説、2つ目はニセモノの腹(=偽腹)が訛ったという説です。
形はセンマイと似ている一方でやや赤みがかっているため、『赤センマイ』とも呼ばれます。
程よく脂はついていながらも濃厚な旨味があり、これまた一味違う味わいがあります。
以上が牛のもっている4つの胃のそれぞれの特徴です。
とはいうものの、一般的に『4つの胃』と表現されるこれらの部位ですが、実際には第一~第三の胃は反芻(一度飲み込んだ食べ物を口に戻し、噛みなおすこと)するための機関として食道が進化したものであり、厳密にいえば『胃』ではありません。
胃液を分泌して人間の胃と同様の役割をしているのは第四の胃だけなのです。
ここまでに紹介してきた牛の胃は、日本ではやはり焼肉に行ったときに目にすることが多い肉の部位ですが、海外でも内臓系、今回紹介した牛の胃を食べる文化があります。
その中でもイタリア料理において『トリッパ(trippa)』という名称を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本でのイタリア料理で『トリッパ』というと、主に第二の胃である『ハチノス』を使うお店が多いようですが、もともとイタリアで『トリッパ』というと第一~第三の胃をミックスしたものを使います。それと対比して、第四の胃のことは『ランプレドット(Lampredotto)』と呼びます。
その中でもイタリアのトスカーナ地方、特にフィレンツェの伝統的な料理として『トリッパ』をトマトで煮込んだものや、『ランプレドット』を香味野菜で煮込んだものがあります。
このように、日本だけでなく世界中で内臓を使った料理が存在しています。
レストランや世界各国の料理を扱うお店に行った際には、オーソドックスなお肉だけでなく、内臓を使った料理を食べてみるのも一つの楽しみになるのではないでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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