寿司の盛り付けには欠かせないハランですが、どんなものか見たことはあるけれど、実際のことを知らない方が多いのではないでしょうか。
勘違いしている方もいらっしゃると思います。ここではハランについて詳しくご紹介したいと思います。
ハランとは
深い緑色が特徴的な常緑多年草です。地表から群集して生えています。
学名をAspidistra elatiorと言い、ギリシャ語の「aspidion(小楯)」と「aster(星)」、「elatior(より背の高い)」が語源になっています。漢字表記は「葉蘭」となっています。 江戸時代に中国から来たという説もありますが、現在は日本原産としています。ヨーロッパでも栽培されていて、庭や道路の片隅に植えられています。
日本では主にお寺や神社に生えていますが、普通に道路の脇に生えています。 「ハランってギザギザした形のものではないのか」と思う方がいらっしゃいますが、笹のような形をしています。
そこから包丁で切ることによってギザギザの形(正式には関所と言います)にするのです。 また笹と似ていますが、ハランの方が葉が固いです。
今でこそどこでも入手できるようになりましたが、元々は関東では笹が関西ではハランが使われていました。
ハランの特徴
植物なので時間が経つとしなびれてきます。もちろん枯れることもあります。そのため新鮮な寿司であることの証として使われてきました。
しかし、やはり時間経過で使えなくなるのは実用性に欠けます。
それゆえに人口で作られたプラスチックのハランが多く出回っているため、それをハランと勘違いする方が多いです。 殺菌効果があるハランですが、その有効成分がどんな構造をしているかは未だはっきりしていないです。
しかし日本ではその効果に早くから気づいていて、抗菌作用、乾燥防止、防腐や消臭昔など有効活用されてきました。
寿司屋でのハラン
寿司屋ではまず入社1年目に練習する技術のひとつです。包丁を如何に細かく使うことが出来るか自在に操れるか、思い通りの形になっているかを修行していきます。
またハランを仕入れるのも業者から仕入れるのではなく、お寺や神社に取りに行きます。
「ハランを狩らせて頂けないでしょうか。お礼と言ったらなんでしょうが、お寿司をお渡しします。」と言ってハランを取らせていただきます。
お坊さんに渡す寿司は、本来は上の方しか作ることが出来ない寿司を練習用として下っ端が練習がてら用意します。
始めは巻き寿司を用意することが多く中に入れる具材も自分で作成できるため、味付けも練習できるということです。つまり寿司屋ではハランの工程に修行がたくさん詰まっているのです。
ハラン切り包丁
ハランを切る包丁も「ハラン切り包丁」という専用の包丁が存在します。
ペティナイフと同じくらいの大きさの包丁で、実際ペティナイフでも代用が効きます。
「ハラン切り包丁」は和包丁なので、片面にしか刃がついていない片刃の包丁です。
そのため基本的には右で切るように作られています。
もし左利きの方は刃を逆につけないといけませんので、オーダーして作ってもらいます。
飾り切り
有名なギザギザした形の「関所」や基本的な切り方の「笹切り」、「亀型」や「鶴型」など縁起のいい動物にするなど多様な形があります。
「関所」もプラスチックで売られているような単に山が数個ある形が基本ですが、熟練した方の作成した「関所」は山の線の中に無数の山を入れる技が見ることが出来ます。
一度カウンター式の寿司屋を訪れてみて注文してみるのも面白いかもしれません。
まとめ
いかがでしょうか。
寿司の引き立て役と聞けば、生姜の調味酢漬「ガリ」を思い浮かべることが多いと思います。
しかし、寿司同士が引っ付かないようにということや鮮度を証明するため、祝いのためにとハランも立派な脇役です。
今後、寿司屋に行ったらじっくりと見てみましょう。
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